マイケル・ピット主演のクライム映画『ニューヨーク ザ・ギャング・シティ 明日なき2人』のレビュー。
紹介
ニューヨーク ザ・ギャング・シティ 明日なき2人のストーリー
主人公・トミーと恋人・ロージーは、二人で強盗事件を起こしたことで逮捕され、トミーの方は18ヶ月服役することに。
18ヶ月後、トミーは無事出所する。
ロージーはトミーと人生をやり直すことを夢見るが、トミーは”マフィアの店を襲えば簡単に現金が手に入る”ことを知り、ロージーを誘って強盗を計画する。
ニューヨーク ザ・ギャング・シティ 明日なき2人の出演陣
役者 | 役名 |
マイケル・ピット | トミー |
ニーナ・アリアンダ | ロージー |
アンディ・ガルシア | ビッグ・アル |
レイ・ロマーノ | ジェリー |
グリフィン・ダン | デイヴ など |
感想
儚く、切ない男女の運命を描く
主人公・トミーは周りを悪くする男です。
最終的に恋人・ロージーも犯行に加担するわけですが、彼女はトミーが収監されている間に人生をやり直すべく努力していました。
そして、彼女は出所したトミーが更生できるように職まで斡旋してあげるわけですが、当のトミーはフラフラして真面目に仕事をしません。
挙句の果てに、トミーはマフィアからカネを奪う計画を立ててロージーを巻き込んでしまいます。
(失礼ながら)ロージーの知能レベルはそう高くないので、彼女は恋人であるトミーに強く迫られて断ることができません。
確かに、トミーとロージーは恋人同士。
ですが、トミーがロージーを悪い方へ導いてしまった感は否めず、いつまで経っても過去のトラウマを言い訳にウダウダ言っている彼に苛立ちを覚えます。
余談ですが、”トミーが収監されている間にロージーは更生していた”ことを考えると、ロージー自身は周囲にマトモな人がいれば普通に生活できる人では?と思います。
とは言っても、二人が辿る運命は儚く、切ないものです。
トミーと出会った時点で詰みのロージーは気の毒ですし、トミーに関しても”マフィアの横暴に苦しめられた少年が、そのマフィアによって消される”わけで、やるせない気持ちになります。
また、“どん底から抜け出そうにもその方法を教えてくれる人はいないし、両親にも拒絶されてしまっている”二人の状況も同情を誘います。
マフィアのドンであるビッグ・アルは孫に人生について説きますが、トミーやロージーにもそうした人物が必要でした。
マフィア映画としても面白い
トミーとロージーの事件の裏で進行するFBI対マフィアの攻防はよく書けていましたし、アンディ・ガルシア演じるビッグ・アルがじりじりと追い詰められていく流れも見応えがありました。
また、実話ベースということもあり─
- トミーとロージーが巻き起こす一連の騒動
- FBI対マフィア
という突拍子もない話が説得力をもって描かれている点も好印象です。
緩いマフィア映画
マフィア映画特有の惨さはなく、意外と気軽に観られる作風でした。
他のマフィア映画だとショッキングに描くシーンでも、この映画は出来るだけ軽いタッチで描こうとしているので、マフィア映画ばかり観ている私にとっては新鮮な”マフィアもの”でした。
まとめ
若い男女の儚い人生を中心に描くマフィア映画の良作でした。
マイケル・ピットとニーナ・アリアンダは不器用なカップルを見事に演じており、アンディ・ガルシアはさすがの演技力で映画全体に重厚感をもたらします。