原題 | Hancock |
公開日 | 2008年7月2日 |
ストーリー | 堕落したヒーロー・ハンコック。
何度も市民を危険から救って来たが、その粗暴の態度によって市民たちからは軽蔑されていた。 しかし、レイという善人と出会ったことでハンコックの人生は一変する。 |
ウィル・スミス主演のアクション映画『ハンコック』のレビュー。
感想
スーパーヒーローの内面を描く
単なるドンパチ系かと思いきや、実際はスーパーヒーローの心の葛藤と成長を描いた一作でした。
主人公・ハンコックは超人的なパワーを持っており、事件や事故の現場にふらっと現れては人々を助けていましたが、市民は彼の傍若無人な振る舞いを歓迎せず、「クズ」呼ばわりして非難するばかり。
かと言って何もしなければ、それはそれで文句を言われる。
超人的なパワーとその性格が災いし、ハンコックは他人と上手く関係が築けず、昼間っから飲んだくれては道行く人々に悪態を付く日々を送っていました。
ある日、ハンコックは踏切内で立ち往生した車を救出し、運転手のレイと知り合うわけですが、この出会いが両者の人生を一変させます。
レイのプロデュースによって、スーパーヒーローとしても人間としても粗削りだったハンコックは、人々に認められ、尊敬される人物へと成長していきます。
さらに、その過程で他人と触れ合い、自分自身と向き合ったことで自身のアイデンティティも確立されてゆき、ハンコックとして生きることの意味を見出します。
このように、この映画ではスーパーヒーローの内面に迫っており、スーパーヒーローでいることの葛藤やその責任を丹念に描いている点がユニークでした。
そして、映画を通して描かれる”ハンコックの成長”は非常に前向きな物語でした。
お前はクズだ!
ハンコックは市民にクソカスに言われるわけですが、ある意味、これは市民が彼を信用している証拠でもあります。
普通、超人的なパワーを持った人間に「クズだ!」なんて言えません。
市民も「ハンコックは悪いヤツではない」と認識しており、こちらに危害を加えるような男ではないと分かっているわけです。
きちんと理由付けされている
ストーリーに抜け目がない。
ハンコックの傍若無人な振る舞いは、記憶喪失によって自身のアイデンティティが確立されていないところから来ていますし、なぜか正義に燃える点も彼の生まれに由来しています。
ハンコックがレイの妻・メアリーに色目を使う点も、ただのスケベ野郎ではなく、スーパーヒーロー同士の絆がそうさせていました。
ハンコックの成長の過程もそうですが、ストーリー自体も非常によく書けています。
まとめ
ユニークで、ヒロイックなスーパーヒーロー映画でした。
ハンコックの成長もさることながら、メアリーの正体や彼女とハンコックの関係性も興味深く、視覚効果だけではなく、ストーリーでも楽しませてくれる一作でした。