マイカ・モンロー主演のSF映画『境界線』のレビュー。
紹介
境界線のストーリー
アイスランドを旅行中の若いアメリカ人カップルが、ある朝目覚めると、地球中からすべての人間が消えていた。
2人だけ残された世界で、
どう生き延びるのか…。 引用元 – Netflixより
境界線の出演陣
役者 | 役名 |
マイカ・モンロー | ジェナイ |
マット・オリアリー | ライリー など |
感想
最後に残されたものは何を思う?
観光客としてアイスランドに来ていたライリーとジェナイの2人は、ある日の朝、目覚めると自分たち以外の人々が消え去ってしまっていることに気づきます。
“私たち”以外は誰もいない世界…。
そんな世界を見ていると、某缶コーヒーの「世界は誰かの仕事でできている」というキャッチフレーズが頭に浮かび、”コーヒーすら満足に淹れられない”ライリーに自分を重ねていました。
ライリーと同じく、私も誰かが作ったものを上手く使いこなす自信はありますが、逆に自分が使うものをイチから作れる自身は全くありません。
(多分、草履も作れないはず)
ただし、ライリーとジェナイの置かれた状況は恵まれていました。
周囲に建物はたくさんありますし、スーパーマーケットや飲食店もあるので食べ物に困ることもありません。また、車やガソリンも残されています。
したがって、生き延びる環境自体は揃っていました。
しかし、何よりも問題だったのは”逃げ場がない”ことでした。
2人以外は誰もいない世界なので、ライリーとジェナイは離れるわけにもいきませんし、かと言って外の世界にストレスのはけ口を見つけ出すこともできません。
よって、共同生活を送る中で感じるストレスや不満は二人の中に蓄積されていくことに。
そして、雄大な大自然も、一方に都会の喧騒という存在があるからこそ、その有難さを感じられるものでした。
この映画の原題は『Bokeh(ぼけ効果)』
“Bokeh”は、ライリーとジェナイの性格を反映しているように感じました。
ライリーは今の環境や生活などのはっきりと見えるものを重視し、その中で出来ることを淡々とやる人物ですが、一方でジェナイは真逆でした。
ジェナイは”今後そうなるかも知れない”というはっきり見えないものを重視し、まだ分からないし、来ないかもしれない未来を心配する人物です。
ジェナイの最後は、”冬が楽しみ”というメッセージを見て、このまま何も変わらないかも知れない未来に絶望してしまった結果でしょう。
…
この映画は、示唆に富んだ作品になっており、自分の人生観や価値観を改めて見つめ直すきっかけになります。
余談ですが、孤独で雄大な大自然は『デス・ストランディング』というテレビゲームを思い出しました。
もう少し短くしても良かった
途中、ストーリーが停滞しているので、1時間くらいでサクッと描いてくれていれば、この映画に対する印象はもっと良くなっていたはず。
まとめ
美しく、儚い作品でした。
アイスランドの雄大な大自然と、胸を打つ音楽の組み合わせは素晴らしく、マイカ・モンローの”微細な感情の変化を見事に捉えた”演技も良かったです。