原題 | Max Payne |
公開日 | 2008年10月17日 |
ストーリー | NY市警の刑事、マックス・ペインは妻子を”ヴァルキリー”と呼ばれる麻薬の中毒者に殺された過去を持つ。
数年経った今でも、マックスは仲間からのけものされながらも妻子の事件を捜査していた。 ある時、マックスは麻薬中毒者から”翼を持つ男”という情報を手に入れ、その人物を調査することに。 そして、マックスは自分よりもはるかに強大な陰謀に巻き込まれていく。 |
マーク・ウォルバーグ主演のアクション映画『マックス・ペイン』のレビュー。
マックス・ペインの感想/評価
映画版としも、アクション映画としても…
まず、原作ファンの視点から観ると期待外れだった。
この映画は2001年に公開された海外ゲーム『マックス・ペイン』の映画版になっており、キャラクターやあらすじなどの大枠は原作を踏襲している。
マックス・ペイン、モナ・サックスやBBなどは原作にも登場しているし、冒頭の駅構内でのいざこざも原作にあったものがそのまま映画化されており、期待させる。
しかし、序盤以降は“マックス・ペイン的な要素”が次第に薄れてゆき、最終的にはオカルトに片足を突っ込んだ煮え切らないアクション映画になってしまう。
アクションゲームの映画版なのに開始一時間経ってもアクションシーン一つなく、シリーズの代名詞とも言えるバレットタイム(スローモーション)もほとんど出て来ない。
また、”ヴァルキリー”による幻覚は原作を無視した謎設定で受け入れがたく、徹底して現実的な世界を作り上げていた原作の良さをぶっ壊している。
さらに、マックス・ペインという人物を特徴付ける詩的な独白もなく、自分自身を皮肉ったり、嫌味を言ったりすることもなく、キャラクターに奥行きがない。
外は悪魔の心臓も凍りつかせるほどの寒さだ。
氷雨が降りしきっていた。
原作のマックス・ペインは上記のような台詞をよく吐くが、映画版の方は良くも悪くも平凡な台詞しか吐かない。
余談だが、原作でマックス・ペインの声を演じたジェームズ・マキャフリーがFBI捜査官としてチラッと出て来るのは嬉しいサプライズだった。
なら、「原作を忘れて、一つのアクション映画としてはどうか?」
私は別に原作至上主義者ではなく、”原作の実写版としてダメなら頭を切り替えて別物として観る”ことにしているが、それでもこの映画はイマイチ。
一応、この映画は”リベンジ系”に分類される内容だが、妻子の件が中盤まできちんと描かれないので、マックス・ペインの復讐心に共感できない。
ちなみに、原作では冒頭に妻子の件を体験させることでプレイヤーに復讐の動機を植え付けることに成功していた。
あと、ストーリーも割りと粗粗しく、ナターシャが殺された理由だったり、BBがルピノに殺されそうなマックスを救った意図がよく分からないまま。
サスペンス映画としても、ストーリーが飛び飛びで、キャラクターの掘り下げも不十分なので、”サスペンスもの”としても厚みがなかった。
アクションシーンはOK
数少ないアクションシーンは非常によく出来ていた。
バレットタイム(スローモーション)を多用したアクションは迫力があり、「あのゲームを映画化するとこうなるのか」という楽しさもあった。
まとめ
原作の映画版としても、アクション映画としてもイマイチだった。
アクションシーンは文句なしの出来だが、肝心のアクションシーンが少なく、ストーリーも細部が甘く、全体的にはイマイチなアクション映画だった。