【感想・評価】ジャック・レモン主演『LONG WAY HOME ロング・ウェイ・ホーム』レビュー※Netflixで配信中

ジャック・レモン主演のコメディ映画。

紹介

偶然に出会った、妻を亡くした老人と自由を愛する大学生。

老人は、彼女とヒッチハイクで旅をすることを決め、かつて愛した女性が暮らすカリフォルニアを目指す。

引用元 – Netflixより

妻に先立たれ、仕事も引退したトーマスと、希望に満ちた若者リアンがヒッチハイクでカリフォルニアを目指す、ロード・ムービー。

ただ余生を過ごしていたトーマスは旅を通して”自分の人生”を取り戻してゆき、リアンは人生の先輩と一緒に過ごす中で成長してゆく。

リアンがトーマスに語りかける「人生は思っているよりも短いのよ」という言葉も味わい深いけれども、トーマスが話す一言一言も同様。

「(父親として)出来ることをしただけだ。その時々に支えてやったんだ」
「故郷とは心のある場所」

リアンに語りかけるように話すトーマスの言葉の一つ一つに重みがあり、彼の人生の教訓と示唆に富む会話の数々が印象に残る。

20代のペーペーの自分には分からない感覚。

若い頃のように行かない”もどかしさ”や、老人として見られることの辛さをトーマスを通して映し出しおり、どこか自分の将来と重ねて観ることができる。

「お別れ」が本当にお別れ。

今でこそPCやスマホのおかげで人と人との距離は非常に近くなったが、この映画が製作された90年代はまだ距離が距離として存在している。

電話するにしても、公衆電話や固定電話のある場所まで行かないといけないし、テレビ電話も普及していないので、顔を合わせる時は実際に会った時だけ。

ネット世代に生まれた者として、この距離感は逆に新鮮。

距離が距離として存在し、それが”お別れ”を意識させるからこそ、トーマスとリアンの交流はどこか儚く、旅の時間が非常に尊いものだと感じさせる。

心温まるロード・ムービーの良作。

今観てみると”この時代だからこその距離感”に目が行く作品になっており、限られた時間の中で親交を深める二人を、ジャック・レモンの温かい演技が包み込む。