アル・パチーノ主演のクライム映画『ミッドナイト・ガイズ』のレビュー。
紹介
ミッドナイト・ガイズのストーリー
28年の刑期を終えて出所したギャング、ヴァル(アル・パチーノ)は、ギャング仲間のドク(クリストファー・ウォーケン)と再会を果たす。
彼らは久しぶりの再会を喜ぶが、ドクは彼らのボスであるクラップハンズ(マーク・マーゴリス)に、ある難題を押し付けられていた。
それは、”翌朝の10時までにヴァルを殺す”こと。
ヴァルに詰め寄られたドクは、その事実を打ち明けてしまう…。
2人は高級車を盗み3人目の仲間、ハーシュ(アラン・アーキン)と共に、昔のようにひと暴れする。
人助けや、警察とのカーチェイスを楽しむ彼らだったが、約束の時間は刻々と迫っていた――。
引用元 – Youtube
ミッドナイト・ガイズの出演陣
役者 | 役名 |
アル・パチーノ | ヴァル |
クリストファー・ウォーケン | ドク |
アラン・アーキン | ハーシュ |
ジュリアナ・マルグリーズ | ニナ |
マーク・マーゴリス | クラップハンズ など |
感想
まるでおとぎ話のように
アル・パチーノ演じる主人公・ヴァルは、仮出所によって28年ぶりに外の世界に出て来たが、予想以上の変化に戸惑う。
刑務所では一目置かれていた彼も、外の世界ではただのおじいちゃんであり、再び裏社会に戻ろうにも、もう彼の席はない。
さらに、しばらく身を寄せることになる親友・ドクのアパートは、ヴァル曰く”刑務所以下”であり、そのドク自身もかつての輝きを失っていた。
そんな二人が“古き良き時代を懐かしむように”夜の町に繰り出す。
ドク馴染みのダイナーで腹ごしらえをした後は、薬局にクラブにお姉さんのお店と巡り、ヴァルは久しぶりのパーティーを堪能する。
(ヴァルが白内障と高血圧の薬を砕いてストローで吸うシーンはなかなかシュール)
途中、昔なじみのハーシュも合流し、“あの頃”に一緒にワルをやったヴァル、ドク、ハーシュの三人組が夜の町で大ハッスルする。
この映画、実は”夜”がすごく長い。
まるで“一夜だけの魔法に掛かった”おじいちゃんたちのおとぎ話を見ているようであり、彼らは日が昇るまでの短い時間の中で目一杯楽しむ。
少し前までは人生の消化試合だった3人だが、ヴァルは美女と楽しい時間を過ごし、ドクは自信を取り戻し、ハーシュは昔のようにスポーツカーを乗り回す。
“一夜だけの魔法”は儚くも、その中で目一杯楽しもうとする3人の姿は非常に前向きであり、ポジティブな気持ちになる。
ただし、楽しいだけではない
実はドクは、釈放されたヴァルを殺すように命令されていた。
以前、ヴァルはギャングのボスの息子を誤って撃ち殺してしまっており、ボスはヴァルが出所した日に落とし前を付けさせるつもりだった。
映画自体はすごくポジティブだが、”ヴァルの命は明日の10時まで”ということが分かっているので、”一夜の魔法”がより儚いものになる。
最後の反撃
最後の展開は痛快だった。
ギャングのボスはドクにヴァルを殺すように強く迫る。
ボスはドクはもう老人で反撃する気力もないと踏んでいたわけだが、ヴァルもドクもあの夜で自信を完全に取り戻していた。
それを知らずにボスが一線を超えてしまったことが最後のシーンに繋がる。
このように“あの夜”が単なるおとぎ話ではなく、ちゃんとストーリーの伏線になっている点がよく、かつヴァルとドクの銃撃シーンも最高だった。
ラストの意味は?どうなった?
ヴァルとドクがギャングのアジトを襲撃するラストシーン。
“最後は観客のご想像にお任せします”という終わり方になっているので、あの後の展開が気になる。
一応、私は相打ちという結末では?と思っている。
魔法のような一夜を過ごし、最後はボスを始末することで過去の精算と復讐を果たし、自分たちも最後には力尽きてハーシュのもとへ…という結末が一番ありえる線かなと。
ヴァルとドクは自分の最期に相応しいスーツを新調し、ドクに至ってはアレックスに全財産を託しており、終わりに向けた準備は整っていました。
まとめ
おじいちゃんたちのハッスルが楽しい映画だった。
エンディングソング(Not Running Anymore)も含めて良い余韻が残る映画であり、アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキンの演技も良かった。