キーア・ギルクリスト主演のコメディ映画『なんだかおかしな物語』のレビュー。
紹介
なんだかおかしな物語のストーリー
精神科病棟に入院し、うつ病を治療することになった主人公・クレイグ。
ここには彼以外にも心に問題を抱える患者がたくさん入院しており、クレイグは彼らと交流する中で自分の心と向き合い、成長していく。
なんだかおかしな物語の出演陣
役者 | 役名 |
キーア・ギルクリスト | クレイグ |
エマ・ロバーツ | ノエル |
ザック・ガリフィアナキス | ボビー |
ヴィオラ・デイヴィス | ミネルバ |
ゾーイ・クラヴィッツ | ニア |
感想
ポジティブに、でも少し重く
主人公・クレイグはうつ病の治療のために精神科病棟に入院するのですが、それぞれが自身の問題をさらけ出しているので、非常に居心地が良い。
「うつ病は甘え」なんて言い切る人がいるように、外の世界では自分基準で相手をジャッジする人は少なくなく、”出来ないこと”を責められることさえあります。
でも、この映画の精神科病棟には、クレイグと同じく外の世界に上手く馴染めない人たちが入院しており、お互いがそれを理解し、尊重し合っていました。
音に敏感な患者がいても周囲はそれを非難せずに理解してあげますし、人と交流することを拒絶する患者がいても同様です。
クレイグの周りには”それぞれ事情は違っても相手を労ることができる人たち”がおり、彼はその中でうつ病と向き合い、成長していきます。
しかし、相手を思いやれるほど優しい性格だからこそ、外の世界で苦労してしまう現実があり、ゆえに彼らが見せる明るい表情に胸が締め付けられる思いもしました。
確かに、この映画では”精神疾患”という重いテーマを非常にポジティブに描き、良い余韻が残る作品としてまとめていますが、同時に精神疾患を抱える人たちの現実にも触れています。
お話自体がネッド・ヴィジーニの実体験に基づいているということもあり、登場人物たちの描き方や精神科病棟での出来事に説得力がありました。
エマ・ロバーツ
ジュリア・ロバーツの姪、エマ・ロバーツも出演。
ボビーがすごくリアル
ザック・ガリフィアナキス演じるボビーは、登場人物の中ではもっとも”元気そう”に見えましたが、過去に6回も自殺未遂していることが後に判明します。
ボビーのように”元気に振る舞っているが心はズタボロ”という人は、私たちの周りにも必ずいるはずで、ボビーというキャラクターは非常にリアルです。
というインパクトはありながらも、ザック・ガリフィアナキスはボビーという繊細な男を見事に演じていました。
まとめ
当事者の心境を時に明るく、時に鋭く映画が秀作でした。
“うつ病”という重いテーマを、一人の青年の成長と周囲の変化というポジティブな面から描いており、実話ベースゆえに希望が持てる一作になっています。