『カリートの道 暗黒街の抗争』のレビュー。
アル・パチーノ主演『カリートの道』の前日譚を描く。
紹介
カリートの道 暗黒街の抗争のストーリー
カリートの道 暗黒街の抗争の出演陣
役者 | 役名 |
ジェイ・ヘルナンデス | カリート |
マリオ・ヴァン・ピーブルズ | アール |
ルイス・ガスマン | ナチョ |
ショーン・コムズ | ニッキー |
マイケル・ケリー | ロッコ など |
感想
別にカリートいらなくね?
カリート抜きでも話は成立する。
恋人を口説いたことを除き、カリート自身が主体的に何かをした描写がほぼなく、常に”騒動の隅っこの方にいる雑魚”という描かれ方をしている。
カリートの名を知らしめたヤクのビジネスについても、彼のビジネスパートナーが率先して行っており、やはりここでも彼の存在感は薄い。
カリートは2人のビジネスパートナーと一緒にビジネスを始めるが、傍から見ているとビジネスパートナーらの方がはるかに有能そうに見える。
結局、カリート自身の有能さが全く描かれないので、彼の言動には説得力がなく、前作『カリートの道』の主人公と同一人物とは到底思えない。
前作ではカリートの若い頃は”伝説”として語られていたが、今作を見る限り彼らは人違いをしていたようだ。
また、今作はお話の展開が唐突すぎる。
開始30分くらいでカリートたちは一定の成功を収めるが、その描写もほとんどないので、どんな苦労があり、どのようにして成り上がったのかが不明。
今まで下っ端の売人をやっていたのに、次の瞬間には相棒・アールはすでに家を買っていて、妻が妊娠していて、引退の話をしている始末。
あと、時間経過も妙に不自然。
「あの数分後の出来事!?」「え、もう数日経過したことになってる!?」というように、映画内の時間配分がヘタで混乱させられる。
これ以上はキリがないので詳細は控えるが、レジーの豹変も唐突だし、カリートと恋人家族の騒動も不要だしとヒドイことになっている。
全体的にチープ
厳しい予算の中で撮影したことが伺える。
室内は明らかにセットだし、カメラ位置は他のシーンのものを使いまわしている。
また、やけに屋内での撮影が多く、当時の空気感やストリートの様子が全く伝わって来ない。
アル・パチーノに似ても似つかない
せめて、”似せる”努力はして欲しかった。
『ゴッドファーザー パート2』におけるロバート・デ・ニーロのように、演じているのは別人だけれど”まるで本人”と思わせるような努力は必要かと。
最低でも、あの独特な立ち振舞くらいは似せて欲しかった。
まとめ
名前だけを借りたパロディ映画…未満。
一つの映画として観ても雑な仕上がりになっており、そんな作品を『カリートの道』の前日譚として公開しようとしたことに驚く。
前作と変わらないのは”Carlito”の発音だけ。
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