『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』のレビュー。
紹介
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士のストーリー
前作の直後、瀕死の状態で病院に搬送されたリスベット。
リスベットの父・ザラチェンコの告発を恐れた”組織”は、自らの秘密を守るべく、リスベットもろとも抹殺する計画を立てる…。
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士の出演陣
役者 | 役名 |
ミカエル・ニクヴィスト | ミカエル |
ノオミ・ラパス | リスベット |
レナ・エンドレ | エリカ など |
感想
リスベット、最後の戦い
今作は『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)』『ミレニアム2 火と戯れる女』と続いた三部作を締めくくる最終章。
一作目「ドラゴン・タトゥーの女」では大財閥の秘密を暴き、二作目「火と戯れる女」では人身売買組織を壊滅させて来たリスベットだったが、彼女自身の問題は未精算のままだった。
その点、今作「眠れる女と狂卓の騎士」はリスベットが”過去を精算する”ことに重点が置かれている。
よって、今回は父・ザラチェンコ、兄・ニーダーマンとの関係はもちろん、父を通して繋がってしまった”組織”との関係や彼女の暗い過去など、これまでの問題が次々と解決されていく。
文字通り、エンディングを迎える頃にはリスベットの過去は綺麗サッパリ精算されており、三部作の締めとして納得の行く結末が用意されている。
余談だが、最後のリスベットとミカエルの何気ない会話は、一作目から観ている者としてリスベットの自然体な表情に感動を覚える。
リスベットを見守る人たち
裁判のシーンではリスベットを気にかける人たちが傍聴席に座っている。
これまで、人に、組織に利用され続けて来たリスベットだったが、そうした過去を理解している者たちが彼女をしっかりと見守っており、決して一人ぼっちではないことが分かる。
悪を懲らしめる
ずっと勝ちゲームを観ているような痛快さ。
リスベットを追う組織にはもはや以前のような力はなく、残っているのは実力者”だった”老人たち。
ミカエルやリスベットたちは独自の情報網とテクノロジーを駆使して証拠を集めていくが、組織の人間たちは実力行使や偽装工作などの古い手ばかりを使って来る。
やることが全て後手後手になる組織を、ミカエルを始めとした善人たちがジリジリと追い詰めていく流れは非常に痛快で、画面の前で思わずほくそ笑んでしまったほど。
そして、裁判のシーンはもっと痛快だった。
この場面では、リスベットを追及する検察側(=組織側)が証拠や証言をもって彼女を悪者に仕立て上げようとするが、観ている側はそれらは全てウソで、リスベット側はそれを証明できることを知っている。
言わば、”リスベットの手のひらで踊らされていることを知らずに、自分たちは絶対に勝てると信じている組織を観ている者があざ笑う”という構図になっており、これもスカッとした気分にさせてくれる。
まとめ
三部作を締めくくる見事な最終章。
一作目「ドラゴン・タトゥーの女」、二作目「火と戯れる女」の伏線はきちんと回収しつつ、リスベットにとって相応しいエンディングも用意しており、非常に満足度の高い最終章だった。
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