この記事では、『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』を二度観た私が自分なりに捻り出した考察を書いています。
『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』を考察
ジェーンがセイディーに親身になったわけ
ジェーンはあまり母親の愛を受けずに育ったのでは?と思いました。
映画の序盤、ジェーンは旅費を全て出すから「会いに来て欲しい」と母親に電話しますが、母親はそれを拒否する(今すぐ来て欲しいと言っているわけでもないのに)。
また、ジェーンの非常識な言動(セイディー宅にズケズケと上がり込む、セイディーのコップで犬に水を飲ませるなど)を見ていると、「両親の干渉なく育って来たのかな?」と感じさせます。
確かに、ジェーンがセイディーに世話を焼いたきっかけは罪悪感でした。
けれど、ジェーンがセイディーと接するうちにセイディーの中に母親を見たことで、罪悪感を抜きにした純粋な気持ちが芽生え、より親身になって行ったように私は感じました。
セイディーが主人公を拒絶(激怒)した理由
最後に判明しますが、セイディーは娘も亡くしています。
墓石の死亡年を見ると、セイディーは30年以上も一人で生活していたことが分かります。
そんな中で、せっかく出会ったジェーン。
セイディーが犬(スターレット)を逃してしまった時、彼女は「これが原因でジェーンも自分のもとを去ってしまうかも知れない」と思ったはず。
再び”大切な人を失う”ことの恐怖によって、セイディーはジェーンを自分から先に拒絶してしまった、と私は理解しました。
“泥まみれになってスターレットを探していた”ことが分かるセイディーの姿を見れば、彼女がジェーンとの関係を大切に思っていることが痛いほど伝わって来ます。
ラスト(最後)の意味
終盤、激怒したメリッサはセイディーにジェーンの秘密(お金を盗んだこと)を暴露。
加えて、メリッサは「ジェーンがあなたに優しくしたのは罪悪感からよ」とセイディーに伝え、セイディー自身も一度はそれを信じて、パリ旅行に行くことを止めようとします。
しかし、セイディーはこれまでのジェーンの言動を振り返り、「決して罪悪感だけで出来ることではない」と感じ、ジェーンと一緒にパリ旅行に行くことにしました。
(ジェーンが使ったお金も、大部分はセイディーのために使っている)
最後のシーン。
セイディーは”これまで一度もジェーンに任せなかった”墓参りを彼女に任せる。
もともと、セイディーは言葉で気持ちを伝えることが得意ではありません。
この場面でセイディーは、墓石を直接ジェーンに見せることで”彼女と年齢の近い娘を亡くしている”ことを明かし、ジェーンの中に亡き娘を見ていることを間接的に伝えます。
これは別の言い方をすれば、”中途半端な気持ちだったら付き合えない”というメッセージでもありました。
最後の数秒は、その重いメッセージを受け取ったジェーンの表情のみで構成されています。
終始、ニコニコしていたジェーンもこのシーンでは表情が一変し、セイディーからのメッセージをしっかりと受け取ったことが伺えます。
- セイディーの中に母を見たジェーン
- ジェーンの中に亡き娘を見たセイディー
“お互いにとっての自分という存在”を確認したところで、二人の関係性はより深くなり、ジェーンは車に戻り、パリへと向かう。
まとめ
以上、”【ラストの意味は?】『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』を考察”でした。
「あなたのモヤモヤは解消されましたか?」
レビュー記事の方では、この映画の感想も書いているのでぜひ読んで下さい。