オルガ・キュリレンコ主演のアクション映画『その女諜報員 アレックス』のレビュー。
紹介
その女諜報員 アレックスのストーリー
主人公・アレックスたちのグループは、ケープタウンの銀行に押し入り、ダイアモンドを奪うことに成功する。
しかし、その夜、アレックスは謎の暗殺チームの襲撃を受け、元恋人のフラーを殺されてしまう。
失意の中、アレックスは真実を解き明かすべく、その暗殺チームの行方を追う。
その女諜報員 アレックスの出演陣
役者 | 役名 |
オルガ・キュリレンコ | アレックス |
ジェームズ・ピュアフォイ | ワシントン |
モーガン・フリーマン | 上院議員 |
リー=アン・サマーズ | ペニー |
コリン・モス | フラー など |
感想
説明不足すぎて頭が混乱する
前半はめちゃくちゃ良かった。
銀行強盗に成功するも、奪ったダイアモンドや「USBメモリ」を取り返そうとする暗殺チームが現れて計画が脱線する…という流れは惹き込まれました。
まるでターミネーターのように主人公・アレックスを追って来る宿敵・ワシントンも存在感がありました。
ただし、良かったのは前半だけ。
諸悪の根源は”急に新しいストーリーが始まる”点。
中盤辺りまでは”銀行で奪ったものの中にヤベー品が紛れており、それのせいで追われている”という単純明快なお話でしたが、終盤になって突然アレックスはスパイだったと明かされたり、【BAC】という諜報機関が登場したりします。
要するに、今まで頭の中で組み立てていたストーリーを一回壊し、急に登場した設定を踏まえた上で再度ストーリーを組み立てることを余儀なくされるのです。
それも終わりかけに。
しかし、急に登場した設定の多くが説明不足ゆえに、観客の理解が不十分のままストーリーが進んでいくので次第に頭が混乱してきます。
終盤に関しては”観客側で推測する余地”がありすぎる。
結局、ストーリーの流れは─
- アレックスとフラーはUSBメモリの存在を知っていた
- ↑を奪うために銀行に押し入り、USBメモリ(+ダイアモンド)を奪う
- ↑を知った議員は暗殺チームを使ってアレックスたちを追跡する
- 暗殺チームの手に負えなくなったので【BAC】が介入する
- アレックスの敵は暗殺チームから【BAC】へ…
というものでした。
しかし、
- USBメモリは偶然入手してしまったものなのか?
- フラーは何者だったのか?
- ダイアモンドは何だったのか?
- 【BAC】とは何なのか?
などの説明が明らかに不足しています。
私の解釈では、おそらくフラーもアレックスと同じ元スパイで、議員の悪事を阻止しようとする彼女の計画に賛同したものと思われます。
拷問されているにもかかわらず、フラーはアレックスに的確に情報を伝えますが、それはどう見ても素人のやり方ではありません。
また、USBメモリの重要性を理解しているからこそ、彼はUSBメモリをベッドの下に隠していたのでしょう
【BAC】に関しては議員に近い諜報機関であり、暗殺チームが仕事に失敗したので仕方なく介入した辺りが妥当な線でしょう。
ダイアモンドは銀行強盗を偽装するためと、仲間に報酬を払うため。
こうした説明が不足しているので、ストーリーが頭の中にスッと入って来ません。
エンディングがひどい
結局、この映画では何も解決していません。
本来であればUSBメモリを発見し、議員の悪巧みを阻止すべきですが、この映画では”新たなテロ計画が判明!でも、それは次回作に!”という結末です。
この映画では新たなテロ計画が判明しただけです。
ボンド・ガールがスパイに!?
『007 慰めの報酬』でカミーユ(ボンド・ガール)を演じたオルガ・キュリレンコが、この映画ではジェームズ・ボンドみたいな役を演じています。
男の主人公と同じように、銃撃戦やカーアクションは難なくこなしており、ちゃんとアクション映画の主人公然としたキャラクターに扮しています。
個人的には、女性キャラクターだからと言ってやけに露出が多かったり、色気を強調したりしていない点が良かったです。
まとめ
何よりもストーリーが雑なサスペンス映画でした。
オルガ・キュリレンコ演じるアレックスのキャラクターや、前半の展開が良かっただけに中盤以降の大失速はただただ残念です。
興行成績的に次回作は厳しいと思われるので、ストーリーもこのまま終了です。