トム・ハンクス主演のヒューマン・ドラマ『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のレビュー。
紹介
ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのストーリー
9.11同時多発テロで父を亡くした少年オスカー。
父の突然の死を受け入れられないオスカーは、ある日、父の部屋のクローゼットで、封筒の中に1本の《鍵》を見つける。
この鍵は父が残したメッセージかも知れない。
オスカーはその鍵の謎を探しに、ニューヨークの街へと飛び出した。
引用元 – Youtube
ものすごくうるさくて、ありえないほど近いの出演者
役者 | 役名 |
トム・ハンクス | トーマス |
サンドラ・ブロック | リンダ |
トーマス・ホーン | オスカー |
マックス・フォン・シドー | 間借り人 |
ヴィオラ・デイヴィス | アビー など |
感想
父親を失った喪失感を冒険で埋める
お話自体は「アメリカ同時多発テロ事件」で父を亡くした少年オスカーが、父の遺品である”鍵”に合う鍵穴を探し出し、父のメッセージを発見するというもの。
しかし、オスカーは”アスペルガー症候群の疑いアリ”と診断された少年なので、他の子が難なく出来ることが難しかったりする。
オスカー曰く、彼は年取った人、走ってる人、飛行機、高いビル、閉じ込められるもの、大きな音、悲鳴、鳴き声、歯がボロボロの人、置き去りのカバン、置き去りのクツ、親といない子供、鳴り響くもの、煙を出すもの、肉を食べる人、見上げる人、タワー、トンネル、スピードが出るもの、うるさいもの、ライトがあるもの、翼があるもの、橋が苦手。
要するに、オスカーは外の世界全てに恐怖心を覚える少年なわけだが、そんな彼は父が残した”鍵”の謎を調査するために街中を走り抜ける。
まだ12歳前後の少年が父を亡くした喪失感に耐え、恐怖心とも戦いながら父のメッセージを探し求める姿は実に前向きで、調査する過程で様々な人たちと出会い、交流し、成長していく姿も感動的だった。
良くも悪くもファンタジー
主人公オスカーは何でもかんでも理屈で理解しようとするが、彼の周辺で起きた出来事の多くは理屈では説明できない。
良くも悪くもファンタジー。
皆が主人公らに親切で、何をしても咎められることなく、温かく見守ってくれる。
オスカーは昼夜一人で出歩くが、危険な目に遭うことはないし、警官に補導されることもない。
終盤に明かされる母親の件に関しても、やはり現実的ではない。
「アメリカ同時多発テロ事件」自体はリアルだが、それ以外の出来事は良くも悪くもファンタジーで包み込まれており、映画だからこそ出来たこと。
リアリティとファンタジーの塩梅は、人によって好みが分かれるはず。
まとめ
911を経験した少年と家族の再生を描く一作。
多くのハンデを負った少年が父を求めてニューヨークを駆け回る姿は非常に前向きで、9.11という重いテーマながらも良い余韻が残る映画になっている。