トム・クルーズ主演のクライム映画『コラテラル』のレビュー。
紹介
コラテラルのストーリー
マックスはロスのタクシー運転手。
いつかリムジン・サービスの会社を持つことを夢見て今の仕事は腰掛だと思いながら日々働いていた。
ある日、マックスは検事のアニーを乗せる。
社内での会話から、2人は互いに好感を持つ。アニーをおろした後に乗せた客は、ヴィンセントという男だった。
一見ビジネスマン風。
一晩で5箇所を回って仕事を済ませなければならないのでマックスの腕を見込んで、ハイヤーとして雇わせてくれてと言う・・。
マックスは高額の報酬に釣られて承諾。
だが、ヴィンセントは実は麻薬組織に雇われた殺し屋で、裁判で不利な証言をする者たちを消すのが仕事だった。
引用元 – Youtube
コラテラルの出演陣
役者 | 役名 |
トム・クルーズ | ヴィンセント |
ジェイミー・フォックス | マックス |
ジェイダ・ピンケット・スミス | アニー など |
感想
殺し屋との夜のドライブ
殺し屋・ヴィンセントの仕事以上に、彼と運転手・マックスとの会話が気になる作品でした。
とにかく、車内で繰り広げられる台詞の応酬が味わい深い。
マックスはヴィンセントが躊躇なく人を殺すことを非難しますが、ヴィンセントは「宇宙の広大さに比べれば人間の生死はちっぽけなもの」と持論を展開し、さらに「広島と長崎の原爆についてはどう感じる?」「アフリカで虐殺が起きていた時、君は何をしていた?」などと畳み掛けます。
“目の前の死を非難する一方で、遠い場所での大量虐殺には無関心”というマックスを始めとした多くの人々が抱える矛盾を暗に指摘します。
また、ヴィンセントは”夢を夢のままにしている”ことに安心感を覚えてしまっているマックスの心理も鋭く突き、気づいた頃には手遅れだぞと警告します。
確かにヴィンセントは精神異常気味。
ゆえに(?)物事は非常にフラットな視点から見ているので、ヴィンセントの口から語られる言葉は核心を突くものばかりでした。
マイケル・マン監督はアクション映画を撮ることに長けていますが、一方で人物像をしっかり肉付けする監督でもあり、この映画ではその良さが出ています。
トム・クルーズのアクションが最高
今風に言えばキアヌ・リーブス主演のアクション映画『ジョン・ウィック』的なアクションを、トム・クルーズが魅せてくれます。
中盤の、ブリーフケースを奪ったチンピラをヴィンセントが銃で瞬殺するシーンは、トム・クルーズの俊敏な動きとビジュアル的な美しさに心を奪われました。
デジタルな質感が良い感じ
大部分をデジタルカメラで撮影したということで、良い意味でくっきりした映像になっています。
夜のロサンゼルスが登場する映画は無数に存在しますが、デジタルカメラで撮影された本作のそれは、これまでのイメージを払拭します。
まとめ
見応えあるスリラー映画でした。
一見すると荒唐無稽な映画ですが、マイケル・マン監督によって実在感ある作品に昇華されており、台詞やシーンの一つ一つに説得力がありました。
もちろん、トム・クルーズとジェイミー・フォックスの演技も素晴らしかったです。