【感想・評価】『天使の失踪(ネタバレ)』レビュー

ドラマ映画のレビュー

ケイト・ネリガン主演の社会派映画『天使の失踪』のレビュー。

ちなみに、この映画は実際の誘拐事件「Etan Patz誘拐事件」に着想を得た作品。

紹介

天使の失踪のストーリー

通学途中にこつ然と姿を消したアレックス。

母・スーザンは懸命に息子の行方を捜索する。

天使の失踪の出演陣

役者 役名
ケイト・ネリガン スーザン
デヴィッド・デュークス グラハム
ジャド・ハーシュ アル
ダニー・コーキル アレックス
ストッカード・チャニング ジョセリーン など

感想

多くの行方不明事件と同じように、”平凡な日常が一瞬で奪われる”様子を描いた冒頭は並のホラー映画よりも恐ろしい。

いつものと変わらない平日の朝。いつものと同じように息子・アレックスを送り出したが、彼は学校にたどり着くことなく、こつ然と姿を消す。

特にこの映画は、不安を煽る演出や音楽は極力排除しており、それが無情にも過ぎ去ってゆく時間の残酷さを生々しく演出する。

この映画では、被害者家族に降りかかる災難も描く。

この映画では一貫して被害者の立場から誘拐事件を描いており、事件に便乗する者や周囲との軋轢などを描き、被害者家族をさらに苦しめる者たちの存在を浮き彫りにする。

最終的に、アレックスは無事に発見される。

解決の糸口は最初の頃からずっとあり、警察が先入観を捨てて捜査をしていれば事件は早期解決していた可能性が高い。

もし、母・スーザンが容疑者と面会せず、警察が無視した情報を知らないままだったら、事件は間違いなく迷宮入りしていたはず。

この映画では、誘拐事件を通して警察の捜査手法に疑問を投げかけており、社会への問題提起を含んだ一作としても見応えがある。

まとめ

誘拐事件を現実ベースで描いたドラマ映画の良作。

被害者家族の苦悩を丹念に描くストーリーは見応えがあり、母・スーザンを演じたケイト・ネリガンの鬼気迫る演技も素晴らしい。

この手の映画では珍しく、良い余韻が残るエンディングなのも良かった。