原題 | A Plague Tale: Innocence |
対応機種 | PC,PS4,Xbox One |
プレイ/クリア時間 | 10時間~ |
『A Plague Tale: Innocence』は、中世ヨーロッパを舞台に、異端審問官に追われる姉弟の逃走劇を描くアクションアドベンチャーゲーム。
いつの時代でも「平和」は長く続かないものだ。
フランス王国の大地が突如揺れ始め、小さな村の静寂を破る。
門前に現れる軍隊。城壁の内側で蔓延る病。防ぎきれない疫病。学者たちは古文書や聖書を読み漁り、必死に答えを探す。
だが、そう簡単なことではない。この疫病の原因は不明なままだ。鋭い歯、光る眼、ねじれた尾…。
ネズミの大群の脅威は容赦なく、飢えと寒さしか感じられない。その渦中にはユーゴとアミシア。
公式サイト
遺児になった姉弟には戦う道しかない――。
評価
ゲームとしてのハードルは低いがスリルはある

本作は多くの点において「詰む」ことがないように工夫されており、よくゲームを遊ぶ人はもちろん、あまり遊ばない人も最後までたどり着けるようにデザインされている。
本作のプレイパートは主に─
- ステルス風のパズル
- ステルスパート
の二点で構成されているが、ステルスゲーム的な試行錯誤はほとんど求められず、正しい手順を踏めば簡単に突破できるエリアばかり。
具体的には、「ステルス風のパズル」では何かしらの方法で敵の注意を逸らせば道が切り開かれるし、その”何かしらの方法”もひと目で分かる形で配置されている。
(“敵の注意を逸らす”際に使用する消費アイテムも、その場で補充できる)
次に「ステルスパート」も、実に直線的なデザインになっており、かつ先導するキャラクターに付いて行くだけでゴールまでたどり着ける。
- あまりゲームを遊ばない人でも最後まで遊べる(はず)
- プレイパートは手順を踏めば簡単に突破できる
ただ、”ハードルは低いがスリルはある”。
「ほとんど死ぬことはない」と分かっていても、無数のネズミの存在だったり、ビジュアルやサウンドだったりがプレイヤーの不安を煽り、かつ良くも悪くも発見=>失敗なのが緊張感を生む。
少なくとも一周目は、ハードルの低さとスリルのバランスが上手く取られており、それなりに手に汗握るゲームプレイが楽しめる。
- ハードルは低いが、プレイヤーの緊張感や切迫感を煽る演出は上手い
人によっては物足りないかも知れないが、私は本作のようにプレイパートのハードルを下げ、より多くの人が最後までストーリーを楽しめるようにするやり方もアリだと思う。
“ゲームオーバー”が重なっていく

本作は“正しい手順を踏めば簡単にクリアできる”ゲームだが、一方で正しい手順から少しでも外れると延々と死が重なっていくゲームでもある。
厄介なことに、”一見すると不正解でも正解に見える”ことが多々あり、それに気づけずに遊んでいるとずっと足止めを食うはめになる。
確かに「詰む」ことがないように工夫されているが、それはあくまでも正しい手順をきちんと守っていればの話であり、場合によってはゲーム側が想定している以上に苦労させられる。

また、ボス戦やそれに相当する山場でも死が重なる。
このパートでは、プレイヤーにエイム力を始めとした”ゲーマーとしてのスキル”を求めるが、それまでの規則的なパズルパートとは求められるものが違いすぎて毎回戸惑ってしまう。
また、説明不足ゆえに「何をすれば良いのか分からない」ということも。
終わってみれば、ボス戦やそれに相当する山場も難易度的には大したことはないのだが、急にゲーム内容が変わり、それを理解するまでの間に倒されることが多々あった。
- 正しい手順から少しでも外れる苦労させられる
- 一部の粗削りなプレイパート
特に後半以降はこの手の問題が凝縮されており、前半と比べるとストレスが溜まる瞬間が多く、”後半は前半に劣る”という印象を受けた。
チェック・ポイントの間隔が長い
倒されてチェック・ポイントから再開した場合、さっきも見たキャラクターのやり取りをもう一度見ないといけなかったり、さっきもしたことをもう一度やらないといけなかったりする。
もう少し、小刻みにチェック・ポイントを用意して欲しかった。
総評

ストーリー主導型のゲームとしては完成度の高い一作。
“ゲームとしてのハードルの低さ”がストーリーに集中できる環境を作り出しており、本作がもっとも重視している部分が手軽に楽しめる点は長所と言える。
一方で、思い出したように登場するゲームらしい部分は短所になっており、その粗削りさはストーリーを進めるモチベーションを削ぐ。