原題 | HEAVY RAIN |
備考 | PS4,PS3,PC(Epic) |

全編QTEのユニークな一作。
ゲームならではの手法を武器に、映画やドラマとは一味違う【インタラクティブ映画】とも言うべき作品に仕上げている。
紹介
全編QTE(クイック タイム イベント)のユニークな作品。
プレイヤーは「ドアノブに手を伸ばす」や「モノを持ち上げる」などの動きをボタン入力で行い、主人公の一挙手一投足を操作することができる。
そして、「QTE」の成功/失敗は全てストーリーの展開に反映される、という作風。
なお、本作は【Quantic Dream】開発。
HEAVY RAINのストーリー
小さな街で起きた、奇怪な連続誘拐殺人事件を題材にしたサスペンスアドベンチャーゲーム。4人の主人公の視点によって物語が展開され、わずかな手がかりをもとに犯人を追う。
評価
【Pros】インタラクティブ(双方向)な映画
『HEAVY RAIN』は映画一本をQTEを通してプレイするような作品。
プレイヤーは「ドアノブに手を伸ばす」や「モノを持ち上げる」などの動作さえもボタン入力して行う必要があり、まさに演者の一挙手一投足を操作することになる。
言わば、本作は【インタラクティブ(双方向)な映画】。
【プレイする映画】と呼ばれるゲームは数多く存在するが、それらはハリウッド映画張りのアクションシーンを実際にプレイできるからこそ、【プレイする映画】と呼ばれる。
その点、今作はさらに”映画に寄った”作品。
こんな映画を想像して欲しい。”主人公の動きに合わせて逐一アイコンが表示され、その通りに観客が入力していく”映画を。それがこのゲームである。
なので、このゲームは【プレイする映画】というよりも【インタラクティブな映画】に近い作品となっている。
【Pros】入力失敗もアリな「QTE」
個人的に【QTE(クイック・タイム・イベント)】は好きではない。
この理由の一番が「QTE失敗=>リスタート」の部分であり、たった一度の入力失敗でそのシーンを最初からやり直すことになる、というゲームは少なくない。
けれども、このゲームは「失敗も結果の一つ」と処理することで「QTE失敗=>リスタート」という問題点を解消しており、”QTE嫌い”でも割りと素直に受け入れられる「QTEゲー」になっている。
QTEを起点にストーリーが変化する
「QTEの失敗も一つの結果として処理される」ということは、一方で「QTEに成功した場合もやはり一つの結果として処理される」ということ。
要するに、このゲームは【QTE】を起点にストーリーが変化する。
例えば、容疑者と対峙する場面では「容疑者を射殺した未来」と「容疑者を射殺しなかった未来」の2つが存在し、仮に”トリガーを引くQTEに失敗”してもストーリーは進行していくし、”トリガーを引くQTEに成功”しても同様だ。
さらに、主要キャラクターの生死にも【QTE】が絡む。
とある場面で、QTEに失敗してそのキャラクターが退場しても、やはりそれも一つの結果として処理されて先に進んでしまうのだ。
こうした“QTEを介したストーリーの変化”は非常にユニークな部分。
この”QTEに失敗しても先に進む”仕様と、ボタン入力やジャイロ操作を通して操作するゲームプレイは”一方通行の映画やドラマにはない独特の緊張感”を生み出し、ストーリーに能動的に参加している感覚も生む。
【Pros】オムニバスなストーリー
まず、本作の操作キャラクターは次の4人。
名前 | 紹介 |
Ethan Mars | 息子が誘拐され、犯人に脅迫されている。 |
Norman Jayden | FBI捜査官。上記の事件を捜査する。 |
Madison Paige | 新米記者。とある事件を調査している。 |
Scott Shelby | 私立探偵 |
そして、このゲームは4人の視点から「折り紙殺人事件」を追うオムニバス形式。
チャプター毎に操作キャラクターが入れ替わり、各々の角度からストーリーを読み解いていくと同時に、操作キャラクターによってプレイ内容も変化するので、最後まで新鮮な気持ちが維持できるゲームとなっている。
また、肝心のストーリーも悪くない。
確かに、今から思えば「あんなことは可能なのか?」や「あれはどうなった?」と感じる点はあるのだけれど、4人のキャラクターが織りなすストーリーは最後までプレイする動機になるほどには練られている。
余談だが、本編を補完するはずだったDLCはキャンセルされた。
総評
上手く【QTE】を活用した意欲作。
ゲームだからこそ可能な手法を武器に、一方通行の映画やドラマでは到底マネできない【インタラクティブな映画】を作り上げており、【Quantic Dream】の色が出た秀作。