「ファークライ アンソロジーバンドル」は、メインシリーズにあたる『ファークライ3』『ファークライ4』『ファークライ5』『ファークライ6』をセットにしたパッケージになる。これ一つで、「ファークライ」シリーズの人気作はほぼすべて遊べる。
この記事では、収録されている「ファークライ」を一つずつ紹介していく。
アンソロジーバンドル
ファークライ3

『ファークライ3』は、2013年に発売されたメインシリーズの3作目。
前作にあたる『ファークライ2』は、紛争地で暗躍する傭兵のリアルをFPSで再現した野心的な作品だったが、その”傭兵シム”とも言える硬い作風は賛否両論で、「3」ではよりカジュアルな方向に舵を切ることになった。
今作では銃が劣化する要素はなくなり、自分以外はほぼ全員が敵という過酷な環境も見直された。また、淡々と仕事をこなしていくだけだったメインミッションも、”陸と海の両方を活用した”アクション映画さながらのものへと刷新され、その間には、リッチなカットシーンもふんだんに追加されることになった。
また、ゲームシステム自体も刷新されており、今作ではアクションもステルスも気軽に試せる。タグ付けした敵は壁越しからでも視認できる上に、”敵からどのように見られているか”も表示してくれるので、“ファークライらしい”ゲリラ戦がお手軽に楽しめるし、ステルスも、テイクダウン(ステルスキル)や高性能な武器のおかげで、かなり楽にステルス状態を維持できるようになった。
前作のような”自分の目と耳を頼りに遊ぶ”という硬派さや、プレイヤーが有利すぎないからこそ起きるイレギュラーな出来事の数々も面白かったが、今作のスタイルも、これはこれで非常に遊びやすく、より多くの人が”ファークライらしい”遊びが楽しめるようになったという良さがある。
今作は、ファークライとしてはもちろん、FPSとオープンワールドを組み合わせたゲームとしても、スタンダード的な作品と言えるので、シリーズやジャンルに興味があれば、抑えておいて損はない一作になっている。
ちなみに、今作のスピンオフとして『ファークライ3 ブラッド・ドラゴン』も販売されている。SFやレトロをテーマにしたパロディ色の強い作風なので、好みが分かれるかと思うが、度々、シリーズ作品の中で言及されるので、遊んでおくとそうしたネタも楽しめるようになる。
関連記事>>>【評価・感想】『ファークライ3(クラシックエディション)』レビュー
ファークライ4

『ファークライ4』は、2014年に発売されたメインシリーズの4作目。
基本的には『ファークライ3』をベースにした作品になり、ゲームの骨格は大きく変わらない。“前作を楽しめたのであれば今作も楽しめる”と言えるほど、前作との共通点は多いのだが、今作では小型ヘリやグラップリングフックによって移動の自由度が増していたり、システム面が効率化されていたりと、より遊びやすくなっている。
ただ、パガン・ミン率いる政府軍と主人公が参加する反政府軍の死闘を描くストーリーや、南国の島とは全く異なる環境のキラットなど、ストーリーや舞台設定は前作から大きく変化しており、その面では新鮮さを感じる一作になっている。
なお、今作のあとにはスピンオフの『ファークライ プライマル』が発売されている。「プライマル」は、「4」のマップとゲームシステムを用いて、石器時代のストーリーを描いた異色の「ファークライ」になり、原始的な武器を手に他の部族や獰猛な野生動物たちと戦う、一風変わったファークライ体験が楽しめる一作になっている。銃を撃ちまくるのに飽きたら、これを遊んでみると良いかも。
関連記事>>>【評価・感想】『ファークライ4』レビュー
ファークライ5

『ファークライ5』は、2018年に発売されたメインシリーズの5作目。
今作は、『ファークライ3』以来、久しぶりにシリーズを刷新した一作になり、色々と手直しされている。やることは「3」以降と大きく変わらないが、仲間やペットとチームを組んで遊べたり、戦闘機の登場によって空も本格的な遊び場になったりなど、ファークライ的な遊びがさらに拡張されている。索敵してタグ付けしてくれるイヌやほぼ確実に敵を仕留めてくれるスナイパーなど、プレイヤーをサポートする機能が充実している。
また、シリーズ的には“Ubiゲー”の特徴だった電波塔を解放してマップを更新する仕組みや、野生動物を狩ってクラフト素材を集める要素もなくなり、いくつかのお約束も見直されている。さらに画面上からミニマップも消えており、これまで以上に、プレイヤーが自発的にゲーム世界を探索することに重きを置く作風になっている。
あとは、舞台がアメリカ中西部になり、これまでよりは身近に感じる環境なのも特徴。平穏な田舎での生活とカルトとの死闘という対比が印象的で、のんびりと釣りを楽しむことも、敵を元気よく爆撃することもできるユニークな世界が用意されている。
一定の条件を満たすと強制的にメインミッションが始まってしまう点は、自由に遊べるオープンワールドゲームと相性が悪いが、それを除くと今風に進化した「ファークライ」になり、古いゲームは…と思う人であれば、ここから遊んでも良いと言える一作になっている。
なお、今作のあとに発売された『ファークライ ニュードーン』は「5」の続編にしてスピンオフ。ゲーム自体は「5」をベースにしたものだが、レベル制度が導入され、”レベル上げ”が必要なゲームになった点が特徴になる。本格的なRPGよりはかなり緩いバランスだが、レベル差があると敵に攻撃が通りにくくなるので、コツコツとレベル上げをしつつストーリーを進めていく。
残念ながらこの「アンソロジーバンドル」には含まれていないが、”5のあと”が気になる人は必ず遊んでおきたいスピンオフになっている。ちなみに、「ニュードーン」は存在自体が「5」のネタバレになるので、それがイヤな人は調べる際は注意したい。
関連記事>>>【評価・感想】『ファークライ5』レビュー
ファークライ6

『ファークライ6』は、2021年に発売されたシリーズの6作目。
今作は『ファークライ ニュードーン』の緩いRPG要素を採用した作品になり、敵とのレベル差はもちろん、装備の組み合わせも意識する必要があったりと、そっち方面にも力が入っている。それ以外は『ファークライ5』以降と同じだが、武器を隠していれば敵に警戒されなかったり、所持する武器をいつでも変更できたりなど、全体的に遊びやすさが向上している。
“いつものファークライ”ではあるが、その分だけ安心して遊べる一作になっている。
関連記事>>>【評価・感想】『ファークライ6(Far Cry 6)』レビュー
シーズンパスは買うべき?
本編を気に入ったので、シーズンパスが欲しくなる人もいるかと思う。
ただ、「ファークライ」のDLCは良くも悪くも本編とは大きく異るものが多い。火星を舞台にしたSFシューターだったり、ローグ要素のあるゲームだったりして、本編の延長線上にあるものだと思って購入すると、「思っていた内容じゃなかった」ということが起きる。
したがって、購入する場合はそれぞれ「どういうゲームか」をきちんと確認した方で買った方が良いし、「変わり種のファークライを遊ぶ」くらいの感覚でいた方が不幸な事故を防げて良いと思う。