海外 | RESIDENT EVIL 7 biohazard |
機種 | PC,PS4,Xbox One |
発売日 | 2017年1月24日 |
開発元 | CAPCOM(公式サイト) |
ストーリー | 行方不明の妻ミアから送られて来た一本のテープ。 ミアの手掛かりを探るべく、夫イーサンはそのテープが指し示した場所である「ベイカー農場」に一人でやって来るのだが、それはこれから始まる”長い夜”の始まりだった。 |
一人称視点を採用した「バイオハザード」。
シリーズとしては約4年ぶりに発売されたナンバリングタイトルになっており、賛否両論だった前作『バイオハザード6』までの方向性を断ち切り、「新たなバイオ」としてシリーズの再出発を図った一作。
評価
無駄がなく、ミニマム

迷走を極めた前作*『バイオハザード6』。
よりアクション重視のゲームへとシフトし、多くの要素を詰め込んだ意欲作ではあったものの、実際は量が質とのトレードオフになっており、全体としては”広く薄い”大作だった。
- 前作は広く薄い内容
それに比べれば、今作は”狭く濃い”ミニマムな一作。
「とある屋敷での猟奇的な出来事」に的を絞り、主要な登場人物も主人公を含めて10名もおらず、カットシーンや台詞も必要最低限に抑えられている。
また、主人公のアクションは基本動作のみであり、体術やプロレス技も存在しない。
一点豪華主義的なデザイン

その一方で、「必要な部分」には一切の妥協がない。
例えば【RE ENGINE】で描かれるゲーム世界は「まるで本物」。
主な舞台である「ベイカー家の屋敷」は”本当に廃墟に足を踏み入れている感覚”があるほど現実味があり、至近距離からマジマジと観察しても破綻がない。
また、フェイシャルアニメーションも非常に優秀。
今作ではカットシーンや演出が全て一人称視点(=主人公目線)で描かれる。
なので、”各キャラクターの「表情」が作品のトーンを左右する”と言っても過言ではないが、今作の登場人物たちはまるで実写のようであり、ベイカー家の面々の”狂気に満ちた”表情は人間が持つ本能的な恐怖心を刺激する。
- 今作は狭く濃いミニマムな内容
- 全てが必要最低限だが、必要な部分の作り込みは流石
前作とは違い、今作は”守備範囲を狭めて的を絞る”ことで確実にその中心を射抜いている。
*ナンバリングタイトルとして
一方で「ホラー」は広く濃く
“狭く濃い”ミニマムなゲームプレイ周りと比べれば、ホラー演出は「広く濃い」。
まず、今作は言わば「総合お化け屋敷」に近い。
背筋も凍る猟奇的な怖さ、思わず目を背けたくなるスプラッター的な恐さ、夢にまで出て来そうな生理的嫌悪感を覚える恐さなど、非常に守備範囲の広いホラー作品になっている。
- 守備範囲の広いホラー作品
なので、常に違ったホラー体験が楽しめる。
“進める度にホラーのトーンや演出が変わって来る”ので最後まで新鮮な恐怖が続き、「次は何が待っているのか?」という期待感がプレイのモチベーション維持に繋がる。
でも、やっぱりバイオハザード

冒頭は本当に怖い。
冒頭の荒廃した屋敷の探索は、小島秀夫監督の『P.T.』がイヤでも頭に浮かび、後ろを振り返るのが本当に恐ろしい。
また、これまでの「バイオハザード」シリーズとは明らかに作風が異なるので、”得体の知れない”恐怖も同時に覚える。
- 冒頭は本当に怖い
ただ、少しずつ「バイオハザード」になっていく。
エリア内を往復して「パズル」を解くお馴染みの流れもそうだし、アイテム同士を合体させて別のアイテムを作成する「クラフト」もそうだし、時には逃げることも大切な戦闘も、まさに「バイオハザード」という感じ。
特に銃を入手した辺りからいつもの調子が出てくるので、そこまでたどり着ければ「これは間違いなくバイオハザードの一部」だと感じられるはず。
- 序盤を終えれば後は”バイオしている”
ただ、これは好みの分かれる部分かと思う。
“ホラーゲームが苦手”な私は少しずつバイオに変わっていく作風は肯定的に捉えているが、序盤が好きだった人は不満に感じるかも知れない。
一部の敵キャラクターの追跡

まず、この要素は「無くても構わない」。
ただ、『サイコブレイク2』のアニマや『バイオハザード RE:2』のタイラントほど面倒に感じることは無く、何とか許容できるレベル。
- 仮に捕まっても一撃死はない
- 今回は楽にまける
割りと鈍感なのでステルス維持は難しくない - 追跡されている間に他の敵が合流しない
- 追跡されている間に”やるべきタスク”が少ない
「あれをしたいのに邪魔されて出来ない!」ということが無かった - 自由に探索できる時間が後々確保されている
上記に加えて回数も少なく、ストレスに感じることはあまり無かった。
終盤以降の展開はイマイチ

正直、終盤の展開にはガッカリした。
というのも、終盤までは硬派な「サバイバル・ホラーゲーム」だったにもかかわず、急に「ホラー系シューター」へと”転化”してしまい、作品のトーンが大きく変わってしまうからだ。
- 終盤はホラー系シューター
特に最終盤は「パズル」要素は姿を消し、アイテムも十分に入手できるので「リソース管理」する面白さも無くなってしまい、非常に単調な印象を受ける。
一体のクリーチャーに”恐れおののいた”のは過去の話となり、複数体のクリーチャー相手に銃弾を撃ち込んでいくことになり、どことなく『F.E.A.R.』を想起させるゲームプレイが展開される。
すぐにリスタートできない
基本的にボス戦は「死にゲー」的な面を持つ。
にもかかわず、”カットシーン(演出)をスキップできない”のでリスタートの度にそれを見ることになり、非常にテンポが悪く、プレイのモチベーションを大きく下げる。
代わり映えしないクリーチャー

数種類用意されているが、ビジュアル的な変化に乏しい。
ボス級を除いて”黒いモヤモヤに覆われた”デザインになっており、的を絞るというよりも、そうせざるを得なかった開発事情を反映しているように思える。
前述したように終盤は戦闘推し。
なので、終盤は”似たような”クリーチャーを延々と相手することになってしまい、ビジュアル的にも、ゲームプレイ的にも単調な印象を受ける。
総評

新たな方向性を示した一作。
前作『バイオハザード6』までの作風をバッサリと切り捨てる一方で、原点回帰と”新たなバイオを作る”という相反するものを同時に実現した意欲作になっており、今後のシリーズ展開には期待が持てる。
確かに、今作は『バイオハザード(1)』や『バイオハザード4』のように”ジャンルを前進させる”内容ではないけれども、斬新な方法で「バイオハザード」を再定義しており、この”ファミリー”における新たなマスターピースの誕生だ。
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