納得のいく結末。The Witcher 3: Wild Hunt – 「無情なる心」「血塗られた美酒」【感想 評価 批評 レビュー】

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2015年を代表するRPGである『The Witcher 3: Wild Hunt(以下TW3: WH)』。各メディア・団体が選ぶ「Game of The Year」を総なめにし、この作品を開発した「CD PROJEKT RED」が「The Game Award 2015」にて、「Developer of the Year」に選ばれたのも記憶に新しい。

そのTW3: WH向けのシーズンパスが、本稿で取り上げる「Expansion Pass」になる。TW3: WHには発売直後から配信が開始された無料DLCが16種類あり、この「Expansion Pass」にはそれとは別に、2本の有料DLCが収録されている(別々に購入可能)。

その2本は、追加サイドミッション群に近い「Hearts of Stone」と、小規模な本編相当の「Blood and Wine」。開発者によれば、この2本を合わせると『The Witcher 2: Assassins of Kings』のコンテンツ量に匹敵するとのことであり、それほど巨大なDLCになっている。

さて、本稿ではこの2本を一度に批評している。一応、書いておくと元々はプレイ日記に載せていた内容を再編集(リライト)して、一本の記事にしている。

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Hearts of Stone(無情なる心)

まず、1,000円弱(単体購入の場合)にしては十分なコンテンツ量。本編のマップを流用してはいるが、プレイヤーが訪れる場所は新たに追加されたエリアが多く、安易な使い回しに終始していない。また、5時間弱にも及ぶミッション群に加えて、装備品や「ルーン細工」と言った新要素も追加されており、コンテンツを更に詰めていくその姿勢は高く評価したい。

さて、『無情なる心』の物語は「契約」と「言葉」が重要なキーワードになっている。敵として登場する”鏡の男”は相手の願い事を叶える対価として、その相手を破滅させる程の要求をする悪魔のような人物だ。

彼の”本当の要求”は契約書に小さく書かれた一文の様であり、言葉巧みに相手を誘導して自分の罠に陥れる。そのため、このDLCにおける会話システムは本編以上に活きている。複数用意された台詞の中から一つを選ぶ際には、「この台詞は別の意味を持たないか」や「これは相手に貸しを作ることにはならないか」という事を考えさせられるので、言葉のキャッチボールに非常に緊張感があるのだ。

だが、物語全編に渡り”言葉の駆け引き”を楽しむ作風の割には、一つ一つの選択がエンディングに影響を及ぼすような作りではないので、若干肩透かしを食った感もある。

メインクエストの中では、「花を取って来いと言っただけで、実物が欲しいとは言っていない」というような、相手の曖昧な説明を逆手に取った場面があり面白いのだが、そういう言葉の駆け引きがラスボス戦で欲しかった。物語自体は面白いのだが、結末は少し物足りない。

Blood and Wine(血塗られた美酒)

こちらも良い意味で2,000円弱のコンテンツ量とは思えない。前DLCとは異なり『Blood and Wine』では、ノヴィグラドとその周辺を足した程の新マップ「トゥサン」が舞台になり、その中には10時間以上のコンテンツが詰め込まれている。

今回の物語は、全体的に「よりマシな方を選んでいく作り」という印象が強く、登場人物らとの会話では常にプレイヤーを悩ませる。この点は「契約」や「言葉」がテーマだった前DLCよりも練られており、本編や前DLC以上に選択する意味が感じられる。

また、前DLCに引き続き今回もいくつかの新要素が見られる。Assassin’s Creedシリーズのような敵の拠点を解放するミニゲームや、過去作に登場した怪物や新たな武具が追加されており、“圧倒されるほどのコンテンツ量を誇る”本編のDLCに相応しい内容と言える。

ゲラルトが主人公を務める最後の作品ということで、過去作を意識した展開やゲラルトのその後を匂わす最後など、集大成・締めくくりとして納得のいくDLCに仕上がっている。それに加えて、開発者の遊びココロが感じられるサイドミッションの数々にも拍手を送りたい。

総評

本編が気に入ったのなら遊ばない理由はないだろう。いや、見逃すべきではないと断言したい。

経験上、本編と変わらぬ安定したゲームプレイを提供してくれるDLCは少ない。実験的な要素を盛り込み失敗したり、単にボリュームに欠けたりすることが多く、積極的にDLCを遊ぼうとは思わないのだが、「Hearts of Stone」と「Blood and Wine」にはそうした欠点が見当たらない。

最初から最後まで一貫してTW3: WHであり、この2作はTW3の評価を更に高めるお手本のようなDLCになっており、傑作。