Hitman: Absolution【感想 評価 批評 レビュー】

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約6年ぶりの復活作となった本作『Hitman: Absolution』。2001年から続くHitmanシリーズの第5作目として登場し、シリーズの刷新を図った意欲的な作品になっている。しかし、現代的なHitmanに生まれ変わった一方で、Hitman特有のゲームプレイが姿を消し、過去作のファンとして少し寂しい内容になっている。

最初に書いておくと、本作は一つのステルスゲームとして見れば及第点と言える。だが、Hitmanとして見れば欠点が目立つ内容であり、この記事では「Hitmanとして」の感想を書いている。

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グラフィックやサウンドは大きく進化しているものの、肝心のゲームプレイは退化している。Hitmanと言えば、サンドボックス型のエリア内にいるターゲットをあの手この手で暗殺することが楽しい作品であり、プレイヤーの創意工夫を可能な限り受け入れてくれる懐の深さが他のステルスゲームとは一線を画する画期的な要素だったのだが、今作ではそうした画期的な要素はすっぽり抜け落ちてしまっている。

その結果として、一般的なステルスゲームのようにレール上の敵を排除し、抜け道を通ることでゴールを目指すステルスゲームになっており、そこにHitmanらしさは存在しない。広大なエリアを探察しながら綿密に計画を練り、そして暗殺を実行するというHitmanの醍醐味は完全に忘れ去られている。

次に「変装」だが、これも悪い方向に調整されている。これまでなら、敵に変装すれば警戒エリア内を自由に出入りできたのだが、今作では変装していても敵に警戒されるようになったことで、非常に窮屈な遊び方を強いられる。

例えば警官に変装して建物内に潜入しても、中には警官が多数配置されているおかげで、常にカバーに隠れて移動しないといけなかったり、出合い頭に警官と遭遇して正体を見破られて乱戦になったりすることが多々起きる。「たとえ変装していても同僚にバレるのは当然」という理屈は分かるのだが、それを上手くゲームに落とし込めておらず、変装は機能不全に陥っている。

警官に変装したAgent 47が、警官と一般人がいる店内をコソコソと動き回る光景は滑稽だし、それの方が明らかに不自然なのに通用してしまっている現実にはゲンナリする。

最後はスコアについてだが、これも無闇に遊び方を縛るゲームシステムと言える。今作では一つアクションを起こす度にポイントが増減し、それが常にゲーム画面上に表示される。そのため、自分の好きなように遊んでいるというよりは、そのスコアに遊ばされている感が強く、ただでさえ低い自由度を更に下げる結果に繋がっている。

一例を挙げると、今回は「気絶させた敵」は隠し場所に隠さないと減点されたままになる。したがって、たとえ敵が無防備な状態であっても付近に隠し場所が無いと、目の前の敵を気絶させることさえ出来ないという状況になるのだ。ちなみに、これまではNPCに発見されない場所に隠しておけば全く問題なかった。

後発の『Splinter Cell Blacklist』ではアクション毎にポイントを加点していく方式を取ったことで、プレイヤーを一つの遊び方に縛り付けない工夫がなされていたが、本作にはそうした工夫が見られない。

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多少の良い面もある。操作方法の簡素化によって、個々のアクションを自然に繰り出せるようになったのは嬉しい改善点。これによって、ターゲットとの距離間や仕掛けるタイミングと言った面倒な事を意識する必要が無くなり、かなり遊び易くなっている。もはや、暗殺の際の些細なミスが原因でリスタートするようなことは起きない。

また、一本道ながらもミッションは多彩で手が込んでいる。エリア内には潜入ルートや仕掛けなどがいくつも用意されており、暗殺方法も様々だ。特に暗殺は、確実に仕留められる簡単な方法とチャレンジ色が強い難しい方法の二つが用意されており、Hitman初心者と経験者の双方が満足できるであろうバランスになっている。

更にあちこちで聞かれるNPC同士の会話もやけに力が入っており、これらの部分に関しては、他のステルスゲームでは中々見られない作り込みとセンスの良さが光っている。

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以前、ネットで見掛けた「開発者はHitmanを遊んでいない」という話を真に受けてしまうほど、今作はHitmanらしくない。百歩譲って極端な一本道は許せるとしても、変装におけるルールの変更は致命的な欠点になっており、過去作を遊んだ者ほど苛々させられ、そのストレスが原因で頭部が禿げ上がってしまうだろう。

少し話は逸れるが、今作が強く影響を受けたと思われる『Splinter Cell Conviction』は、今作と同じようにシリーズの刷新を図った作品なのだが、どれだけ見た目や操作性が変化しても「影は安全地帯」というルールはそのままだったので、すんなりとゲームに馴染むことが出来た。今作はそのルールすらも変えてしまったので、過去作を遊んだ者としては非常にフラストレーションが溜まる。

今作は当時流行りのゲームシステムを意識し過ぎた結果、自らのルーツを見失ってしまった続編。確かにグラフィックやサウンド、世界観は目を見張るものはあるが、これはHitmanではない。

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