「彼女は何者で、私は誰なのか」Her Story【感想 評価 批評 レビュー】

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概要

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ネタバレを防ぐために、字幕にはモザイク処理を施してある。

実写のビデオクリップを基に事件を捜査する異色の一作。「The Game Awards 2015」において「Performance of the Year」に選ばれたViva Seifert氏の一人芝居と、良質な物語とユニークなゲームプレイが話題を呼んだ内容になっている。

なお、この記事は可能な限りネタバレにならないように配慮した内容になっている。

ビデオクリップを基に捜査するという切り口

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ゲーム自体は、200件を超えるビデオクリップを視聴することに終始するだけ。確かに、本作は「殺人事件を捜査する」内容ではあるのだが、多くの人がその文字を見て期待するゲーム的な部分はなく、唯一出来ることはビデオクリップから事件を推理することだけなのだ。しかし、その奇抜なゲームプレイが非常に面白い。

本作の核となるビデオクリップは30秒から2分ほどの長さがあり、その中には彼女の証言(Her Story)が収められている。プレイヤーはビデオクリップを視聴し、そこで気になる単語を見つければ、更にその単語に関連したビデオクリップを見つけ出して視聴することを繰り返す。

例えば、あなたが「*らりるれろ」という単語に引っかかったとする。その単語を画面上部の検索欄に入力すれば、「らりるれろ」という単語が含まれたビデオクリップが表示されるという仕組みになっている。だが、一度に表示されるビデオクリップは5件と決まっているので、闇雲に検索すればクリアできるという訳でもなく、しっかり物語を読み解く努力も必要なのだ。

*ネタバレを防ぐために伏せ字に。

まるで蜘蛛の巣に引っかかったかのように

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事件自体は実に単純で、最初の頃は順調にビデオクリップから証言を集めることが出来るはず。しかし、ビデオクリップを観れば観るほど単純な事件が複雑化していき、ついには最初に立てた事件の流れは脆くも崩れ去ることになるだろう。

そうした失敗を経て、事件を一から読み解くにも、次々とプレイヤーのミスリードを誘う台詞が飛び出し、意味ありげな仕草が目に入ってくる。それらの意味するものを調べる為に、さらに夢中になってビデオクリップを漁るわけだが、深みに嵌れば嵌まるほど事件が見えなくなってくる。その様はまるで蜘蛛の巣から脱出するためにもがくようであり、動けば動くほど糸が絡んで身動きが取れなくなる。

しかし、本作は決して謎だけを残していく作品ではない。失敗を繰り返しながらもビデオクリップを視聴していけば事件の糸口が見えてくる。一見無関係に思える彼女と刑事の雑談の中に重大なヒントが隠れていたりするのだ。それらを本物の刑事になりきってノート等にまとめて簡単な資料を作り上げていると、次第に事件の全容が見えてくるというわけだ。

このように、プレイヤーを”荒野のウエスタン”に置き去りにするのではなく、しっかりリードしつつ推理もさせる物語とゲームプレイは秀逸。実際にノートにまとめさせる行為も、ビデオクリップが実写映像であることと相まって、ゲーム世界と現実世界の境界線を限りなく薄める結果に繋がっており、ゲーム世界と現実世界の一体感も面白い。

また、最後の方でPCを操作している人物が明かされるのだが、それを知るとまた話の見方が変わってくるのも面白い仕掛け。「彼女は何者で私は誰なのか」を理解させた上でクレジットを流す演出も上手く、*記憶の彼方に消えた彼女との唯一の繋がりに、思いを寄せる「私の」心境が痛いほど伝わって来た。

Viva Seifert氏の演技力に支えられた一人芝居、そこで語られる物語は一級品。

*この感想は受け手によって変わる。

総評、クレジットを含めての作品

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証言を収めたビデオクリップの山から事件を読み解くという野心的なゲームプレイは上手く噛み合っている。ゲーム側でしっかりコントロールしているとは言え、プレイヤーの見方によって姿を変える物語も質が高く、変わり種の推理ゲームとしても面白い。

プレイ時間は1時間~2時間と短く、意図的とは言え操作性も良くないので癖は強い。しかし、本作の方向性を理解した上で遊ぶのなら、他では味わえない体験ができる作品になっている。

「あなたは事件の謎を解くことができるかな?」

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