プレイヤーが全てを操作する、Heavy Rain(ヘビーレイン)【感想 評価 批評 レビュー】

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本作『Heavy Rain』は全編QTEの作品だ。会社設立以来、一貫して映画的なゲームを作り続ける「Quantic Dream」の三作目で、インタラクティブ・ムービーとも言うべき内容に仕上がっているのが特徴だ。

Good

  • ユニークなゲームプレイ
  • 物語・分岐

Bad

  • 稀にQTEが欠点に
  • 全ての謎は明かされない

動画版

ゲーム的”映画”体験

『Heavy Rain』はインタラクティブ・ムービーだ。演者の細かな動作をボタン入力で操作し、まるで映画を操作しているような体験を得ることが出来る、珍しい作品になっている。プレイヤーはボタンを押すタイミングを咄嗟に見極めたり、押し込む力を加減するなどして操作をするのだが、それはまるで”映画を操作している”ようだ。

本作は端的に言えば、「全編QTEの一風変わった作品」とも言える。QTEと言えば、私を含め多くのゲーマーがネガティブな印象を抱くゲームシステムだと思うが、本作にはそれが全編に渡って導入されている。

やや話は逸れるが、なぜ、多くのゲーマーはQTEを忌み嫌うのだろうか。少なくとも私は「ボタン入力失敗=リスタート」になるQTEは、全力で蹴り上げて宇宙の彼方へと追いやってしまいたい思いだが、逆にその失敗も一つの結果として受け入れてくれるQTEに関しては、むしろ肯定的に捉えている。実際のゲームプレイ時には不可能な複雑なアクションを、QTEの手を借りてプレイヤーに体験させる工夫は、一つのゲームシステムとして面白いと感じるからだ。

さて、話を元に戻すと本作のQTEは、私の知る限り失敗してもゲームオーバーにはならない。何度ボタン入力に失敗しても、「失敗も一つの結果」として受け入れてくれるので、咄嗟のボタン入力に失敗してもゲームオーバーにはならず、それ自体がゲームの進行に支障を来すことは殆どない。

これは「先の展開は固定ではない」ということでもある。例えばある場面では、「容疑者を射殺した未来」と「容疑者を射殺しなかった未来」が存在し、仮にQTEに失敗してトリガーを引けなくても物語は進行していく。また、容疑者との戦闘シーンにおいて、万が一にもQTEに失敗して操作キャラクターが死亡してしまっても、やはりそれも一つの結果として処理されるのだ。

これはQTE特有のストレスを軽減する一方で、プレイヤーが能動的に物語に参加している感覚を生んでいる。こうした自分の操作が物語を変化させる事実が、一方通行の映画やドラマでは再現できない緊張感を生み、ほぼ全ての動作をプレイヤーが行うことで、プレイヤーと主人公らとの強い一体感も生まれている。コントローラーを強く振り落として指を切断するシーンなどは、単にそれを見ているだけの映画、ドラマや他のゲームとは比較にならないほど、感情を揺さぶるものがある。

確かに、独特の操作感覚やQTEにイライラさせられることはある。しかし、気がつくとQTEや物語に夢中になっていることが多く、QTEを多用したゲームプレイはユニークで面白い。

一つの事件を多角的に追う物語

操作キャラクターは4人。それぞれが別々で一つの事件を追うオムニバス形式的な物語になっており、プレイヤーは交互に彼らを操作して、異なる角度から物語を読み解いていく。時には誘拐された息子を探す父親を操作し、時にはその父親を追うFBI捜査官を操作するなどして、それぞれの立場から事件の真相を追い、彼らの物語が複雑に交差していくのだ。

本作はスロースターター。なので序盤は退屈したが、中盤以降は連続して何時間も遊ぶほど熱中し、操作キャラクターが一同に会する終盤は特に盛り上がった。その一方で、登場人物の数はもっと絞っても良かったと思う。これは、自分の遊び方に依るのかも知れないが、そこまでキャラクターが立たず、必要性も感じない者が居た。

また、一部の謎がそのままなのも気になる。おそらくはDLCで補完するつもりだったのだろうが、その計画が頓挫した今、いくつかの謎がそのまま放置された状態になっている。結末には満足しているものの、思い返すと「あんなことは可能なのか」や「あれはどうなった」と感じることも多く、決して突出した出来の脚本ではない。それでも中盤以降の盛り上がりには夢中にさせれたが。

総評

多額の予算を投じた大作級の作品にも関わらず、他の話題作とは異なるユニークな作品に仕上がっている。非常に映画的ではあるが、双方向型メディアであるゲームで表現することで、一方通行の映画では到底マネできない感情を揺さぶる瞬間を作り上げることに成功している。